
【東京都】創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)の
申請から交付までの流れを解説
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)は、既存事業を深化・発展させる取組を支援する東京都中小企業振興公社(以下「公社」)の助成金です。令和7年度まで実施されていた「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」と、対象となる取組や助成率が共通しています。
本記事では、業務改善コースの申請方法と、交付決定後に助成金が交付されるまでの流れを解説します。
※本記事は2026年9月15日時点の情報に基づき、東京都中小企業振興公社が公表している令和8年度「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」の各コースの募集要項・FAQ等を参照して更新しています。令和7年度まで実施されていた「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」は令和7年度の募集がすべて受付終了しており、令和8年度は同事業の募集はなく、既存事業の「深化」「発展」を支援する本事業が実施されています。
なお、事業の概要や3つのコースの違い、申請要件、旧制度との違いについては「【東京都】創意工夫チャレンジ促進事業とは?旧・経営基盤強化事業との違いも解説」で紹介していますので参照ください。
業務改善コースの申請~交付の流れ
業務改善コースの申請から交付までの大まかな流れは下図のとおりです。

業務改善コース第2回の場合、申請受付(2026年8月3日~14日)から交付決定(11月下旬予定)までは3~4か月程度です。公社のFAQでは、書類審査の結果は申請から概ね2か月程度、面接審査の結果はその後概ね2か月程度で通知される予定とされています。
交付決定後は、助成事業の完了から原則1か月以内に実績報告を行い、完了検査から1か月程度で助成金額が確定し、請求書の提出から1か月程度で助成金が支払われます。
申請書類・提出書類の用意
申請受付期間中に、次の書類をすべてJグランツで提出します。申請後に書類を追加提出したり差し替えたりすることはできず、不足や不備があると不採択になるため、早めに準備を始めましょう。特に申請様式は、申請者の情報、事業計画、資金計画などボリュームがあるため、時間をかけて作成する必要があります。
全事業者に共通して必要な書類
| 必要書類 | 留意事項 | 入手先 | 対象申請者 | |
|---|---|---|---|---|
| 法人 | 個人 | |||
| 申請様式 | 必要事項を記入して提出 | 公社HP | ○ | ○ |
| 誓約書 | 反社会的勢力排除に関する誓約書、助成金申請に関する誓約書 | 公社HP | ○ | ○ |
| 履歴事項全部証明書 | 発行後3か月以内のもの | 法務局 | ○ | ー |
| 開業届 | 各自 | ー | ○ | |
| 法人事業税納税証明書 | 直近のもの | 都税事務所 | ○ | ー |
| 個人事業税納税証明書 | 代表者の直近のもの | 都税事務所 | ー | ○ |
| 所得税納税証明書(その1) | 代表者の直近のもの(非課税の方) | 所管税務署 | ー | ○ |
| 法人都民税納税証明書 | 直近のもの | 都税事務所 | ○ | ー |
| 住民税納税証明書 | 代表者の直近のもの | 市区町村役所 | ー | ○ |
| 住民税非課税証明書 | 代表者の直近のもの(非課税の方) | 市区町村役所 | ー | ○ |
| 決算書(損益計算書) | 申請様式に記入した営業利益と対応する決算期のもの(直近決算期・前期決算期の最大2期分) | 各自 | ○ | ー |
| 所得税確定申告書 (第一表、収支内訳書または青色申告決算書) | 同上。マイナンバーが記載されている場合は墨消し等を行う | 各自 | ー | ○ |
申請内容に応じて必要な書類
| 提出書類 | 提出が必要な場合 |
|---|---|
| 見積書・カタログ等 | 一契約あたり税抜30万円以上の経費(見積書は「一式」とせず、規格・メーカー・型番・単価・数量などの内訳が分かるもの) |
| 相見積書 | 一契約あたり税抜100万円以上の経費は2社以上の見積書(特段の理由で相見積もりができない場合は、申請様式内の見積限定理由書) |
| 図面(設計図、平面図等) | 設備・機器等を購入する場合(設置場所等が分かるもの)、住居兼事務所等で取り組む場合(居住空間と区分されていることが分かるもの) |
| 特許証、特許等公報等 | 産業財産権出願・導入費で、申請書の該当欄に「はい」と答えた場合 |
| 展示会出展要項・ECサイトの出店登録要項 | 販売促進費で展示会出展やECサイト出店を申請する場合 |
このほか、助成対象経費への該当性などを確認するために、公社から追加で書類の提出を求められる場合があります。
賃上げ重点コースで申請する場合
賃金引上げ計画を立てて助成率を2/3から3/4(小規模企業者は4/5)に引き上げたい場合は、業務改善コースではなく賃上げ重点コースで申請します。賃金引上げ計画は、次の2つをどちらも満たす必要があります。
- 賃金引上げ計画期間に常時使用する従業員に支払う給与等総額を、基準期間より2.0%以上増加させること
- 助成事業の実施場所内の最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
- 賃金引上げ計画期間:助成事業の完了日が属する月の翌月から最大12か月
- 基準期間:基準日が属する月の前月から遡った12か月(令和8年度第2回の基準日は令和8年9月1日)
- 給与等総額:常時使用する従業員(役員を除き、非常勤を含む。個人事業主の場合は代表者を除く)に支払った、賃金台帳に記載の差引支給額
- 常時使用する従業員が1名以上いることが必要で、基準日時点で事業期間が1年に満たない事業者(未決算の法人・個人事業者を含む)は申請できません
申請時には、賃金引上げ計画書と、基準期間12か月分の全従業員の賃金台帳の写しを追加で提出します。助成金は2回に分けて交付され、1回目は2/3の助成率で計算した金額、2回目は賃金引上げ計画の達成が確認された後に差額が支払われます。計画を達成できなかった場合、助成率は2/3のままです(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合などは、差額が交付されることもあります)。
詳しくは賃上げ重点コースの募集要項で確認しましょう。
創意工夫チャレンジ促進事業への申請方法
申請は次の手順で進めます。
- GビズID(プライムアカウント)を取得し、Jグランツにログイン
- 申請書類・提出書類の準備
- Jグランツで必要事項を入力し、申請書類と必要書類をアップロード
- 申請状況の確認・書類審査・面接審査
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
① GビズID(プライムアカウント)を取得し、Jグランツにログイン
申請は、デジタル庁が運営する電子申請システム「Jグランツ」でのみ受け付けています。Jグランツを使うには、事業者向け共通認証システム「GビズID」のプライムアカウントが必要です(エントリーアカウントでは申請できません)。公社のページでは、発行までに1週間程度、または2~3週間かかるとの案内もあるため、余裕をもって取得しておきましょう。
GビズIDを取得したら、補助金ポータルサイト「Jグランツ」のトップページ右上の「ログイン」から、「GビズIDでログインする」へ進みます。

ログイン後、メインメニューの「補助金を探す」を選び、検索ウィンドウに「創意工夫チャレンジ」と入力して検索します。

検索結果に表示される「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業助成金(業務改善コース)【令和〇年度第〇回】」を選択し、次のステップへ進みましょう。
② 申請書類の準備
GビズIDの取得と並行して、申請書類・提出書類を準備します。申請様式・誓約書は公社のホームページからダウンロードし、納税証明書や履歴事項全部証明書などは各機関で取得します。
見積書やカタログは一契約あたり税抜30万円以上の経費で提出が必要になるため、導入予定の設備やシステムについては早めに見積もりを取っておきましょう。
③ Jグランツで必要事項を入力し、書類をアップロード
検索結果から助成金の説明ページを開き、ページ下部の「申請する」をクリックすると申請フォームに進みます。GビズIDに登録されている情報は一部自動で入力されるので、残りの必須項目を入力しましょう。

必要事項を入力したら、申請書類と提出書類をアップロードします。1つの欄にアップロードできるファイルは1件(16MBまで)で、ファイル名は「法人名(屋号)_提出書類名_提出日付」とするよう定められています。
入力内容を確認して「申請する」を押すと申請完了です。いったん申請するとJグランツ上で取り下げができず、書類の追加提出や差し替えもできないため、必要書類をすべてアップロードできているか確認してから申請しましょう。
代理申請機能も使える
令和8年度の募集要項では、Jグランツ上の当初の申請手続きに限り、行政書士などの第三者が代理申請機能を使って申請を作成できるとされています。申請者がGビズID上で委任の手続きを行い、「同意書(代理申請用)」をJグランツの申請フォームにアップロードします。ただし、申請内容の確認と提出、申請受付以降の手続きは申請者自身が行う必要があり、外注(委託)先の事業者などは代理申請を請け負えません。
④ 申請状況の確認・書類審査・面接審査
Jグランツのマイページにある「申請履歴」から、申請した助成金と手続きの状況を確認できます。一覧の「事業」欄は「(タイトルなし)」と表示されますが問題ありません。
申請書類は、まず次の視点で確認されます。不備や不足がある場合や申請要件を満たしていない場合は不採択となります。
- 申請要件を満たしているか
- 提出書類に不備・不足等はないか
- 申請された経費が助成対象となるか
専門家による書類審査のポイント
書類審査では、専門家が次の視点で申請内容を審査します。一定の水準に達していると認められると、面接審査に進みます。
- 発展性:既存事業の深化・発展に資する取組か
- 市場性:事業環境の変化前後の市場分析は十分か
- 実現性:取り組むための体制は整っているか
- 優秀性:事業者としての創意工夫、今後の展望はあるか
- 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか
専門家との面接審査のポイント
面接審査は、特段の事情がない限り原則対面で、1時間程度行われます。出席できるのは申請事業者の代表者・役員・従業員で、最大2名までです。
顧問や経営コンサルタント等の同席や代理出席はできません。これらが発覚した場合、審査に重大な影響を及ぼすことがあります。また、面接会場には録音・撮影ができる機器やパソコンなどの電子機器を持ち込めません。
面接の日程・場所は書類審査の通過者にメールで通知され、日程の変更はできません。業務改善コース第2回の面接審査期間は2026年10月26日~11月12日で、募集要項に記載された期間中はいつでも対応できるよう、あらかじめ予定を空けておきましょう。指定の日時に来場しない場合は、申請を辞退したものとみなされます。
(画像引用元:令和7年度 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業助成金(一般コース) 電子申請マニュアル。令和8年度も同じJグランツで手続きを行います)
交付決定後の流れ
交付決定を受けたら、次の流れで助成金の交付まで進みます。
- 助成事業の実施
- 実績報告
- 完了検査
- 助成金交付額の確定
- 助成金の交付
それぞれの段階について確認しましょう。
① 助成事業の実施
助成対象期間は交付決定日から1年間で、この期間中に契約・実施・支払いが完了した経費が助成対象です。期間中に契約から支払いまで終わるよう計画を立てましょう。
経費の支払いは、助成事業者名義の口座からの振込払いが原則です。振込が難しい場合は、次の方法も認められています。
- クレジットカード:法人は法人カード、個人は代表者の個人カードで、助成対象期間中に口座から引き落とされたもの
- 現金:税抜10万円以下の契約の支払い(コンビニ決済・代金引換を含む)
- 手形・小切手:自社発行で、助成対象期間中に振出し・決済が完了したもの
法人が役員・従業員の個人名義や個人口座から振り込んだ経費は対象外です。また、交付決定後、希望すれば助成事業の実施中に経営アドバイザーの派遣を受けることもできます。
② 実績報告
助成事業の完了後、原則1か月以内に「実績報告書」と必要書類を提出します。期限内に提出しないと助成金が交付されないため注意しましょう。
経理関係の書類として、主に次のものをそろえます。
- 契約書、または発注書と請書
- 納品書等(委託・工事の場合は完了届や報告書)
- 請求書
- 振込控
- クレジットカード利用明細
- 領収書(現金払いの場合)
- 通帳または当座勘定照合表(必要な場合)
あわせて、購入品のカタログ、設置前後の写真、委託の成果物など、経費区分ごとに履行を確認するための書類も提出します。単価が税抜50万円以上の機械装置等には、公社が配布するステッカーを貼った写真も必要です。
③ 完了検査
実績報告の書類をもとに、公社職員等が助成事業の実施が適正か、購入物や経費の内容を確認します。書類の確認後には、助成事業の実施場所などで購入物・工事の現地確認と、経理関係書類の原本照合が行われます。
購入物や経理関係書類が確認できない場合、その経費は助成対象外になる可能性があります。書類の原本はすべて保管しておきましょう。完了検査の際には、経営アドバイザーの派遣(必須)もあわせて行われます。
④ 助成金交付額の確定
完了検査の後、実績報告の内容が審査され、助成金の交付額が「助成金確定通知書」で通知されます。
交付額は実績にもとづく精算払いのため、交付決定額から減額されることがあります。
⑤ 助成金の交付
助成金確定通知書を受け取ったら、公社指定様式の「助成金請求書」と振込口座の通帳(またはキャッシュカード)の写しを提出します。内容の確認後、請求書の到着から1か月程度で指定口座に助成金が振り込まれる見込みです。期限内に請求書を提出しないと、助成金が支払われない場合があるので注意しましょう。
⑥ 助成金の交付後も続く主な義務
- 交付決定年度の翌年度から3年間、「実施結果状況報告書」で助成事業の実施結果を報告する
- 助成事業に係るすべての関係書類を、助成事業が完了した日の属する公社の会計年度終了後5年間保存する
- 助成事業で取得した財産の管理状況を明らかにし、完了年度の翌年度から5年を経過する日まで保存するとともに、固定資産として計上するなど適正に会計処理し、助成金交付の目的に沿って効果的に運用する
- 取得価格(または増加価格)が税抜50万円以上の設備やその他成果物を、完了年度の翌年度から5年を経過する日までに処分(目的外使用・売却・譲渡・廃棄など)する場合は、事前に公社の承認を受ける(耐用年数を過ぎた財産を除く)
- 助成対象期間中と終了後おおむね5年程度、公社職員等による立入調査や報告の求めに対応する
令和8年度の申請時期
令和8年度の経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の申請受付期間は次のとおりです(2026年9月15日時点)。
| コース | 募集回 | 申請受付期間 |
|---|---|---|
| 業務改善コース | 第1回 | 令和8年5月11日~5月29日16時 ※受付終了 |
| 第2回 | 令和8年8月3日~8月14日16時 ※受付終了 | |
| 第3回 | 令和8年11月2日~11月13日16時 | |
| 第4回 | 令和9年2月1日~2月12日16時 | |
| 賃上げ重点コース | 第1回 | 令和8年6月1日~6月12日16時 ※受付終了 |
| 第2回 | 令和8年9月1日~9月14日16時 ※受付終了 | |
| 第3回 | 令和8年12月1日~12月14日16時 | |
| 第4回 | 令和9年3月1日~3月12日16時 | |
| 新市場・新分野進出コース | 第1回 | 令和8年7月1日~7月14日16時 ※受付終了 |
| 第2回 | 令和9年1月4日~1月14日16時 |
予算の都合などにより、予告なく募集予定が変更される場合があります。申請を検討している方は、公社の公式サイトで最新情報を確認したうえで、早めに準備を進めましょう。
まとめ
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)は、既存事業の深化・発展に幅広い経費が使える東京都の助成金で、対象経費の2/3(最大600万円)が助成されます。
一方で、申請時にまとめて提出する書類が多く、申請後の追加提出や差し替えもできません。面接審査への対応や、交付決定後の経理書類の管理まで含めて、計画的に進めることが大切です。申請に不安がある場合は、専門家のサポートを受けることもおすすめです。
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なお、事業の概要や申請要件については「【東京都】創意工夫チャレンジ促進事業とは?旧・経営基盤強化事業との違いも解説」で紹介していますので参照ください。
参考
