節税・税制優遇

【設備投資予定の事業者向け】中小企業投資促進税制の活用のススメ

中小企業投資促進税制とは

【2026年11月更新】令和8年度税制改正により、測定工具・検査工具を複数取得して合計120万円以上かどうかを判定する際の、1台あたりの最低額が、2026年(令和8年)4月1日以後に取得・製作したものから「30万円以上」→「40万円以上」に引き上げられました。本記事は改正後の内容に合わせて更新しています。

中小企業投資促進税制は、中小企業の設備投資を支援する強力な制度です。この記事では、制度の概要から対象となる設備、利用のための手続き、注意点まで詳しく解説します。

中小企業投資促進税制の概要

中小企業投資促進税制は、中小企業者等が特定の設備等の導入を行う場合に、税制上の優遇措置を受けられる制度です。 具体的には、原則として取得価額の30%に相当する特別償却を受けられ、一定の対象者は7%の税額控除との選択ができます(内航船舶は取得価額の75%を計算の元にします。また、所有権移転外リース取引で取得した資産は特別償却を使えず、税額控除のみです)。税額控除は、中小企業経営強化税制の税額控除とあわせて、法人は調整前法人税額、個人は調整前事業所得税額の20%が上限で、控除しきれない分は1年間繰り越せます。

適用対象者や対象となる設備等

適用対象者

青色申告書を提出する、①中小企業者等(原則として資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等)と、②常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主が対象ですので、法人・組合等だけでなく、一定の個人事業主も対象です。ただし、税額控除は、個人事業主、資本金3,000万円以下の法人、農業協同組合等・商店街振興組合が対象となっているため注意しましょう。

なお、大会社から多くの出資を受けている等、実質的に大会社とみなされる場合は対象外となっていたり、電気業・水道業等の一定の事業者は対象外となっているため、詳細は中小企業庁のHPを確認するようにしましょう。

対象となる設備

対象となる主な設備(新品に限る)と金額要件は以下のとおりです。対象となる事業(指定事業)や除外の要件も別途確認が必要です。

設備の内容条件
機械および装置1台あたりの取得価額160万円以上
製品の品質管理の向上等に役立つ測定工具および検査工具以下のいずれかに当てはまる場合
・1台または1基の取得価額120万円以上
・1台または1基40万円以上(2026年3月31日以前の取得分は30万円以上)のもので、その事業年度(個人はその年)中に取得または製作して事業に使い始めたものの合計が120万円以上
一定のソフトウェア1つあたり70万円以上、またはその事業年度(個人はその年)中に取得または製作して事業に使い始めたものの合計が70万円以上
貨物自動車一定の普通自動車で貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量3.5トン以上(※)
内航船舶内航海運業の用に供される船舶(総トン数500トン以上は一定の届出をしたものに限る)。特別償却・税額控除の計算は取得価額の75%が元になる

※普通自動車 = 小型自動車・軽自動車・大型特殊自動車・小型特殊自動車以外の自動車

対象となる期間(2027年3月31日まで延長)

2025年度税制改正により延長され、2027年3月31日までに取得または製作し、かつ、同日までに事業の用に供した資産に適用されます。対象は新品に限られ、中古の資産は対象外です。また、他人に貸し付ける資産は原則として対象外です(一定の内航海運業者が行う船舶の貸付けを除く)。

中小企業経営強化税制との違い

中小企業経営強化税制においても主に設備投資が対象となっているため、2つの制度について違いがわからず混乱する方もいらっしゃると思います。

押さえておくべき大きな違いとしては①税務上のメリットと②事務負担の2点です。

中小企業経営強化税制の利用で得られる税務上のメリットは、機械装置などの設備(一定の建物・附属設備を除く)では即時償却または10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人は7%)であり、中小企業投資促進税制においては上記の通り取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除となっており、やや税務メリットが小さくなっています。

一方で、中小企業経営強化税制は利用のための手続きが煩雑で事務負担が大きいものになっていますが、中小企業投資促進税制は事前の認定が不要で、確定申告時に必要書類を作成・添付すればよく、事務負担が軽い点が特徴です。

中小企業経営強化税制についても【設備投資予定の事業者必見】中小企業経営強化税制を利用した節税法で解説していますので参照ください。

手続きや注意点

下記が必要な手続きです。経営力向上計画の認定などは不要で(総トン数500トン以上の内航船舶は所定の届出が必要)、確定申告の際に所定の明細書などを作成して添付すればよいのですが、添付を忘れると適用を受けられないため、設備を取得したら忘れずに顧問税理士に相談するようにしましょう。

法人の場合

特別償却の適用を受けるためには、法人税の確定申告書に特別償却の付表と適用額明細書を添付する必要があります。また、税額控除の適用を受けるためには、法人税の確定申告書に別表と適用額明細書を添付する必要があります。

(参考)個人の場合

個人事業主が特別償却を申請する場合には、特別償却の場合、青色申告決算書の「減価償却の計算」の「㋬割増(特別)償却費」の欄に特別償却の額を、「摘要」の欄に特例名(措法10の3)を記入し、特別償却に関する明細書を確定申告書に添付する必要があります。また、個人事業主が税額控除を申請する場合には、確定申告書に「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を添付します。

まとめ

中小企業投資促進税制は、設備投資を促進する中小企業のための優遇制度ですが、事前の認定が不要で、事業者側の事務負担が少なく税務メリットを受けることができるため、積極的に活用することをおススメします。税額控除か特別償却のどちらを選択するべきかについては事業者の状況によって異なるため、顧問税理士に相談して決めるようにしましょう。特別償却などの節税についての考え方は【法人経営者&個人事業主必見】知っておくべき節税対策の考え方でも解説していますので是非参照ください。

参考

この記事を書いた人

有村 啓史

有村 啓史事務所代表/公認会計士・税理士

慶應大学在学中に公認会計士に合格し、Big4の一つであるKPMGあずさ監査法人に新卒で入所。複数の上場企業の会計監査、内部統制監査に従事した後、2016年より米国のUCLAにMBA留学を行う。帰国後は日本マイクロソフト株式会社にBtoBマーケターとしてビジネスサイドの経験を積み、2021年にバイオベンチャーに入社し、CFOとしてIPO準備や資金調達業務などを経験した後、独立開業。不動産関連企業の監査役も務めている。

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