経営力向上計画は中小企業の競争力を高めるための制度です。本記事では、その具体的なメリットと申請手続きについて解説します。

経営力向上計画の概要

経営力向上計画とは?

出典:経営力向上計画策定の手引き P1

経営力向上計画は、企業が持続可能な成長を遂げるために策定する計画です。政府からの認定を受けることで、様々な支援を受けることができます。経営力向上計画は、企業が将来に向けて具体的な目標を設定し、その達成に向けた戦略を明確にするための重要なツールです。計画には、経営資源の効率的な活用、人材育成、技術革新、市場開拓など、企業の成長に必要な要素が盛り込まれます。

誰が申請できる?

中小企業基本法に定められた中小企業、小規模企業、特定創業支援法に基づく創業支援事業者などが対象となりますが、基本的に個人事業主と中小企業が対象だと理解しておけば問題ありません。近年では、経営革新や事業承継を積極的に推進する企業に対して、積極的に認定がなされています。

経営力向上計画の認定状況

多くの企業がこの制度を活用しており、その認定数は年々増加しています。2024年9月30日時点で177,032件が認定を受けているとされていますが、日本全体で中小企業が約340万社あることを考えると認定率は中小企業全体の数%程度に留まっており、実はまだまだ十分に活用されていない制度と言えます。政府は、経営力向上計画の認定を通じて、中小企業の競争力強化と経済活性化を促進しています。

経営力向上計画の主なメリット

税制優遇措置

これが企業にとって最も重要なメリットですが、経営力向上計画の認定を受けると中小企業経営強化税制をはじめとする各種税制優遇が適用されます。具体的には、設備投資の際に、「即時償却」or「取得価額の10%(資本金3千万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除」を選ぶことができたり、固定資産税の減免などもあります。これらの税制優遇措置は、企業の資金繰り改善や設備投資促進に大きく貢献します。

補助金の加点項目

小規模事業者持続化補助金や事業承継・引継ぎ補助金など、一部の補助金については経営力向上計画の認定が審査における加点項目になっています。計画の認定をうけることで一部の補助金に採択されやすくなると言えます。

金融支援策

日本政策金融公庫による低利融資を活用することができる他、民間金融機関から融資を受ける際の信用保証協会の保証について、別枠での保証追加や、保証枠の拡大があり資金調達が有利になります。これは、新規事業の立ち上げや設備投資など、企業の成長に必要な資金調達を支援するものです。

法的支援の特例

事経営力向上計画の認定を受けている企業は、事業承継時における許認可の取得や手続きにおいて、一定の優遇措置を受けることができます。これは、事業承継を円滑に進める趣旨です。

経営力向上計画の申請手順

申請に必要な書類

経営力向上計画を申請するためには、事業計画書や現状分析などの書類が必要です。具体的には、経営理念、事業計画、財務計画、人材育成計画、設備投資計画、事業環境分析などが含まれます。これらの書類は、企業の現状と将来の展望を明確に示すものであり、申請前にしっかりと準備しておく必要があります。

申請から認定までの流れ

1. 業種ごとの指針確認、2. 事業計画の策定、3.各省庁への提出、4.審査を経て認定取得、という手順を踏んで認定を得ます。まず、申請前に、自社の業種に合った経営力向上計画の指針を確認する必要があります。次に、指針に基づいて具体的な事業計画を策定します。計画が完成したら、各省庁に申請書類を提出します。その後、審査が行われ、認定基準を満たしていれば認定が取得できます。

認定を受ける際のポイント

申請を紙面ベースで行った場合の標準処理期間は30日(計画に記載された事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合は約45日)とされていますが、経営力向上計画申請プラットフォームにて電子申請した場合の標準処理期間は約14日(経済産業部局宛のみの申請の場合)と電子申請の場合の方が認定までのスケジュールが短くなっています。また、この経営力向上計画の申請は不備が非常に多いことで知られています。申請内容に不備があった場合、電子申請であればプラットフォーム上で修正コメントを確認してすぐに再申請を行うことができるため、事務処理の観点で圧倒的に電子申請が有利です。

また、計画の対象期間について3-5年の選択が可能ですが、期間に悩む場合は5年で申請して税制優遇などのメリットを最大限受けることをおススメしています。

設備を取得する予定の原則として「設備の取得前」に計画の認定を受ける必要があるため、余裕をもって申請を行いましょう。

まとめ:経営力向上計画で経営をより強固に

計画の認定を受けることで、税制優遇や資金調達など多くのメリットが得られます。申請作業の負荷もそこまで大きくないため、現時点で経営力向上計画を利用する具体的な予定がない場合でも、

・将来何かしらの設備投資を行う可能性がある

・将来何かしらの補助金(特に小規模事業持続化補助金)の申請を行う可能性がある

数年内に事業承継の予定がある

と考えている経営者は、事前に経営力向上計画の認定を受けることをおススメします。

当事務所では申請のサポートを行っており、また優遇税制の適用など難しい部分も多いと思いますので、疑問点のある方や経営力向上計画を検討中の方は一度お問い合わせください。