省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者が売上拡大や生産性を向上させるため、省力化につながる設備投資等を支援するための補助金です。本記事ではその概要や申請方法、審査のポイントなどをわかりやすく解説します。

※下記は主に2025年2月20日に公開された省力化投資補助金(一般型)の公募要領を基礎として記載しています。

省力化投資補助金(一般型)の概要

補助金の趣旨(一般型、カタログ注文型共通)

人手不足に悩む中小企業・小規模事業者等が行う省力化設備ソフトウェアの導入を支援する補助金です。

2つの類型:一般型とカタログ注文型

省力化投資補助金は一般型とカタログ注文型の2つがあり、それぞれの特徴は下記の表を参照ください。

従来はカタログ注文型のみで、汎用製品が事前にカタログに掲載されており、その中から最適なものを選んで導入する形でしたが、今回から一般型が加わっています。カタログに登録された製品があまり充実していなかったことから、これまではカタログ注文型の利用が進んでいなかったという背景があります。今回、省力化投資補助金をより広く普及させるために新たに一般型が加わりましたので、本命は一般型だと思われます。まずはカタログに希望する製品が載っているか確認し、載っていない場合でもあきらめずに一般型にトライするようにしましょう。

また一般型について、オーダーメイド設備という特徴的な表現が入っているため特殊な設備の購入が要件になっているのかと思ってしまう方もいると思いますが、汎用設備であっても周辺機器等を事業に合わせて変える場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことができる場合には、オーダーメイド設備として扱うという整理になっているため、多くの事業者が利用できる可能性があります。

本記事では以降は一般型について記載していきます。

項目一般型(参考)カタログ注文型
特徴売上拡大や生産性向上のため、オーダーメイド設備や事業者の現場に適した汎用設備・システムの導入を支援するもの。柔軟な設備投資が可能で、個別のニーズに対応できる点がメリット。カタログ注文型は、カタログに掲載された汎用製品の購入を支援するもの。登録された製品から選択するため、手続きが簡単で導入しやすい点がメリット。                  
補助上限
(カッコ内は大幅な賃上げを行う場合)
従業員数
・5人以下 :750万円(1,000万円)
・6~20人 :1,500万円(2,000万円)
・21~50人 :3,000万円(4,000万円)
・51~100人:5,000万円(6,500万円)
・101人以上:8,000万円(1億円)
従業員数
・5人以下 :200万円(300万円)
・6~20人 :500万円(750万円)
・21人以上 :1,000万円(1,500万円)
補助率・1,500万まで:中小企業1/2(最低賃金の引き上げを行う場合は2/3)、小規模2/3
・1,500万を超える部分:1/3
一律1/2

対象者

対象者は中小企業者と小規模事業者(個人事業主を含む)です。以下に中小企業者と個人事業主の定義を記載しますが、条件を満たしていても大企業からの一定の出資を得ていたり直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えている場合など、実質的に大企業とみなされる場合は対象外となる点に注意しましょう。

<中小企業者>

資本金や常勤従業員数が下記に記載の数値以下の会社が対象です。他に一定の組合等も対象になっていますので詳細は公募要領を確認ください。

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万100人
小売業5,000万50人
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

<小規模事業者>

下記を満たす会社と個人事業主が小規模事業者となります。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

対象となる経費

以下が対象経費ですが、省力化投資補助金の申請のためには必ず1つ以上の単価50万円(税抜)以上の機械設備・システム構築に対する投資が必要になっています。

項目内容
機械装置・システム構築費① 機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
② 専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
③ 改良又は据付けに要する経費
※1 生産性向上に必要な、防災性能の優れた生産設備等を補助対象経費に含めることは可能。
※2 必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要。
運搬費運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
技術導入費知的財産権等の導入に要する経費
知的財産権等関連経費特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等
外注費新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
専門家経費本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する経費

省力化投資補助金(一般型)の申請の流れと注意点

下記が申請の流れの全体像になっています。

注意点

まず、申請は電子申請のみとなっており、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要であるため、できるだけ事前にGビズIDアカウントの取得手続きを行った方がよいです。

交付決定以降に対象の経費を支出し始め、事業の実施期限までに補助対象事業が終了する必要があります。交付決定前に支出した経費については補助対象外なので注意しましょう。事業の実施期限は公募ごとに異なると思われますが、今回発表された第1回目の一般型では交付決定から18カ月以内となっています。

そして補助事業終了から起算して30日を経過した日、または、事業完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出する必要があります。こちらも余裕を持って対応するようにしましょう。

その後補助金の請求及び交付がありますが、最後に対応する事項があります。省力化投資補助金を活用した全ての補助事業者は、補助事業を終了した日が属する会計年度の終了後5年間にわたって、効果報告をする必要があります。こちらの対応をもって補助金対応が終了となります。対応しないと、交付決定が取り消されたり、補助金の返還が求められたり、他の補助金の申請が制限されたり等、様々なペナルティがあるため必ず提出するようにしましょう

なお、これまでカタログ注文型においては補助金を利用した事業を営んだ結果として一定の収益を得た場合は、「収益納付」という形で補助金を返還する義務が設けられていましたが、一般型の公募では収益納付は求められていません。

審査の流れとポイント

書面審査の他、補助申請額が一定規模以上の場合は口頭審査もあります。

書面審査と加点項目

書面審査は技術面、事業化面、政策面の3つの視点で行われます。

審査項目内容
技術面    ・省力化指数が高い取組であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
・投資回収期間が短い取組であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
・付加価値額の年平均成長率が大きい案件であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
・人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)等の導入等を行う事業計画であることが示されているか。また、汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わることや、省力化に資する汎用設備を組み合わせて複数導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが示されているか
計画面・補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
・補助事業の成果が優位性や収益性を有し、かつ、省力化による結果に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
・本事業により高い賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか。
・補助事業を実施することにより、部分的な省力化に留まらずに会社全体にシナジーや成果をもたらす取組みとなっているか。具体的には、補助事業で省力化された時間や労働力を高付加価値業務に振り向けることで賃上げにつながるような、会社全体における柔軟なリソースの最適化の観点をふまえた内容となっているか。そのうえで「労働生産性」「一人当たり給与支給総額」「給与支給総額」等の算出根拠に妥当性があるか。
政策面・地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。
・異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
・事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
・先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
その他大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例の適用を狙う場合は以下も審査の対象
・大幅な賃上げの取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
・一時的な賃上げの計画となっておらず、将来に渡り、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。また、人件費だけでなく、設備投資等に適切に充当し、企業の成長が見込めるか。
・将来に渡って企業が成長するため、従業員間の技能指導や外部開催の研修への参加、資格取得促進等、従業員の部門配置に応じた人材育成に取り組んでいるか。また、従業員の能力に応じた人事評価に取り組んでいるか。
・人事配置等の体制面、販売計画等の営業面の強化に取り組んでいるか。

また、加点項目は下記のようになっています。基本的にとれる加点項目はとりに行くべきだと思います。中でもコスパの高い成長加速マッチングサービスの登録と事業継続力強化計画の認定に関する加点は必ず取るようにしましょう。

審査項目内容詳細
加点項目事業承継又はM&Aを実施した事業者(申請者)に対する加点過去3年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者
災害等加点有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点「成長加速マッチングサービス」(←https://mirasapo-connect.go.jp/を設定)において会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者。(応募締切日時点)
賃上げ加点事業計画期間(補助事業完了年度の翌年度以降)における給与支給総額の年平均成長率平均4.0%以上増加、事業場内最低賃金を毎年3月、事業実施都道府県における最低賃金より+40円以上の水準を満たす計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者
えるぼし加点女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者
くるみん加点次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者

口頭審査

口頭審査は補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者を対象にオンラインにて実施するとされていますが、いくら以上かについて明確な記載はありません。

口頭審査は短時間で行われ、事業者が主体的に申請に携わっていれば難易度は高くないと思われます。ですが、コンサルなどに丸投げし内容を把握していない場合などは質問に対して的確に答えられない可能性があるため、申請内容については事前に一通り頭に入れておくようにしましょう。また、口頭審査に参加しない場合は不採択となってしまうため口頭審査の案内が来たら必ず参加するようにしましょう。

まとめ

省力化投資補助金は、中小企業の生産性向上を強力に支援する制度です。新設された一般型は大きな予算が割り当てられており、従来のカタログ注文型の不便を補う形で発表されているため、これまでよりも利用者が増加すると思われます。生産性向上を狙った投資予定がある方は検討してみるとよいでしょう。

一方で細かい申請条件やポイントについて全体を把握することはなかなか難しいため、専門家に任せることを検討してもよいと思います。当事務所においても省力化投資補助金に関する申請のサポートを行っておりますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。