
小規模事業持続化補助金のススメ
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が経営の改善や販路拡大を図るための補助金制度です。本記事ではその概要や申請方法、審査のポイントなどをわかりやすく解説します。
※下記は2025年3月4日に公表された第17回公募要領における内容をベースに記載しております。
小規模事業者持続化補助金の概要
概要
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組みを支援するための補助金です。
対象者
下記に該当する個人事業主や法人等の小規模事業者等が対象です。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
基本的に個人事業主も対象ですが、医師、歯科医師等は対象外となっているため、個人で経営されているのクリニックや歯医者さんは対象外です。上記の他に、資本金が5億円以上の法人に100%の株式を保有されていないこと、直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと等の細かい要件がありますので、詳細は公募要項をご確認ください。
補助金の対象となる経費
以下の経費が対象になります。ウェブサイト関連費は補助金総額の1/4(最大50万円)が上限とされており、ウェブサイト関連費のみによる申請はできない点に注意しましょう。
経費項目 | 内容 |
①機械装置等費 | 補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費 |
②広報費 | パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費 |
③ウェブサイト関連費 | 販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費 |
④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む) | 新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費 |
⑤旅費 | 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む。)等を行うための旅費 |
⑥新商品開発費 | 新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費 |
⑦借料 | 機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費 |
⑧委託・外注費 | 自分では実施困難な業務を第三者に委託・外注するために支払われる経費 |
多くの方がウェブサイト関連費と広告費を記載すると思いますので、ガイドブックより詳細を抜粋します。
<広報費>
対象となる経費 | 対象とならない経費 |
・チラシ・カタログの外注や発送 ・新聞・雑誌等への商品・サービスの広告 ・看板作成・設置 ・試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ) ・販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ) ・郵送によるDMの発送 ・街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載 | ・試供品(販売用商品と同じものを試供品として用いる場合) ・販促品(商品・サービスの宣伝広告の掲載がない場合) ・名刺 ・商品販売のための動画作成 ・販路開拓に必要なシステム開発 ・商品・サービスの宣伝広告を目的としない看板・会社案内パンフレットの作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外) ・文房具等 ・金券・商品券 ・チラシ等配布物のうち未配布・未使用分 ・補助事業期間外の広告の掲載や配布物の配布 ・フランチャイズ本部の作製する広告物の購入 |
<ウェブサイト関連費>
対象となる経費 | 対象とならない経費 |
・商品販売のためのウェブサイト作成や更新 ・インターネットを介したDMの発送 ・インターネット広告 ・バナー広告の実施 ・効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策 ・商品販売のための動画作成 ・システム開発、構築に係る経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務効率化のためのソフトウェアなど) ・SNSに係る経費 | ・商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外) ・ウェブサイトに関連するコンサルティング、アドバイス費用 ・補助事業期間内に公開に至らなかった動画・ホームページ・ランディングページ ・有料配信する動画の制作費 |
なお、ウェブサイト、システム開発等に係る委託・外注費は「委託・外注費」に含まれず、ウェブサイト関連費として扱う必要があります。
その他の注意点として、補助対象経費は、明確に区分経理され、かつ証拠書類によって金額等が確認できるもののみとなるため、仕様提示⇒見積⇒発注⇒納品⇒検収⇒請求⇒支払という各フローにおいて経理処理の証拠となる書類(見積書、取引画面の写し等)を保存して提出できるようにする必要があります。
また、1件当たり税込み100万円超のものを購入する際は相見積もりが必要であり、相見積もりが困難である場合は理由書を提出する必要があります。また、中古品の購入については金額にかかわらず常に相見積もりが必要です。
補助金の類型、補助率、補助上限額
5類型あり、それぞれの補助率及び上限額は以下の通りです。一般枠の災害支援枠は能登半島地震などの被災者が対象であり、共同・協業型は参画事業者を10者以上集める必要があり、ビジネスコミュニティ型は商工会のメンバーを対象にしており、それぞれ対象が非常に限定的であるため、メインは一般型の通常枠(インボイス特例・賃金引上げ特例含む)と創業型であると思われます。
類型 | 概要 | 補助率 | 補助上限額 | |
一般型 | 通常枠 | 販路開拓や事業拡大を目指す小規模事業者 | 2/3 ※賃金引上げ特例を選択した”赤字事業者”は3/4 | 50万円 |
インボイス特例 | 免税事業者から課税事業者に転換した事業者 | 50万円上乗せ | ||
賃金引上げ特例 | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げた小規模事業者 | 150万円上乗せ | ||
災害支援枠 | 令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者 | 2/3 ※被災を証明できる等一定の要件を満たす場合は全額 | 直接被害:200万円 間接被害:100万円 | |
創業型 | 産競法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた、創業後3年以内の小規模事業者 | 2/3 | 200万円 (インボイス特例適用の場合は50万上乗せ) | |
共同・協業型 | 地域社会の活性化を目指す地域振興機関と連携する小規模事業者 | 2/3 | 5,000万円 | |
ビジネスコミュニティ型 | 商工会や商工会議所の青年部や女性部などの内部組織 | 50万円の定額 |
小規模事業者持続化補助金の申請の流れと注意点
申請の流れ
申請の流れは下記のようになっています。

注意すべきポイント
まず、申請は電子申請のみとなっており、申請には「GビズIDプライム」もしくは「GビズIDメンバー」のアカウント取得が必要であるため、できるだけ事前にGビズIDアカウントの取得手続きを行った方がよいです。
次に、補助金の申請書を提出する前に、商工会議所から「事業支援計画書」というものを交付してもらう必要があります。交付まで時間がかかることもあるため早めに手続きをするようにしましょう。
交付決定以降に対象の経費を支出し始め、事業の実施期限までに補助対象事業が終了する必要があります。交付決定前に支出した経費については補助対象外なので注意しましょう。事業の実施期限は公募ごとに異なりますが、交付決定から数カ月くらいの期間で経費を使い切るイメージです。
補助事業終了から起算して30日を経過した日、または、補助事業実施期限から10日後のいずれか早い日までに実績報告書を提出する必要があります。こちらも余裕を持って対応するようにしましょう。
その後補助金の請求及び交付がありますが、最後に対応する事項があります。補助事業終了から1年後に「事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を提出する必要があります。こちらの提出をもって補助金対応が終了となります。こちらを提出しないと、他の補助金の申請が制限される等の大きなペナルティがあるため必ず提出するようにしましょう。
審査の流れとポイント
以降は一般型(通常枠)と創業型を前提に記載します。
審査の流れ
審査は基礎審査、書面審査、加点審査の3つにわかれています。以下に公募要領に記載されているポイントを抜粋して記載します。
①基礎審査
基礎審査においては下記を全て満たしているかが確認されます。そもそも補助金の申請要件を満たしているかどうかという前提を確認する審査のイメージです。
①必要な提出資料がすべて提出されていること
②補助対象者、対象事業、補助率及び上限額、対象経費などの要件を満たしていること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること
②計画審査
書面審査から、実際の申請書おける中身の審査が始まります。申請書の内容が以下の審査ポイントを充足しているかどうかという観点で申請書を作成することが大切です。
①自社の経営状況分析の妥当性
・自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)や顧客ニーズを捉えたものとなっているか。
③補助事業計画の有効性
・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
・販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
・補助事業計画には、技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって、新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する取組等が見られるか。
・補助事業計画には、デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか。
④積算の透明・適切性
・補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
・事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
③加点審査
加点は、重点政策加点と呼ばれる項目の中から1種類、政策加点と呼ばれる項目の中から1種類の合計2種類まで選択することができます。
⑦の経営力向上計画加点は事前に準備を行えば必ずもらえる加点項目なので、できるだけ早めに認定をもらうようにしましょう。経営力向上計画に関する記事も書いておりますのでこちらを参照ください。認定書の写しを提出できれば問題ないため、経営力向上計画認定の際に出した計画の内容を改めて更新する必要はありません。
分類 | 加点項目 | 概要 | 一般枠 | 創業枠 |
重点政策加点 | ①赤字賃上げ加点 | 賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者に対して加点 ※賃金引上げ枠(赤字事業者)を希望した場合は、自動的に適用されます。 | 〇 | 〇 |
②事業環境変化加点 | ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に対して加点 | 〇 | 〇 | |
③東日本大震災加点 | 福島第一原子力発電所の影響を受け避難指示等の対象となった地域に補助事業実施場所が所在する事業者及び被害を受けた水産加工業者等に対して加点 | 〇 | 〇 | |
④くるみん・えるぼし加点 | 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者に対して加点 | 〇 | 〇 | |
政策加点 | ①賃上げ加点 | 最低賃金の引き上げが行われる中、それに加えて更なる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な事業者に対して加点 ※賃金引上げ枠を希望した場合は、自動的に適用されます。 | 〇 | ✕ |
②地方創生型加点 | 事業計画が以下に当てはまる場合に加点 ○地域資源型 地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への 販売や新規事業の立ち上げを行う計画 ○地域コミュニティ型 地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需 要喚起を目的とした取組等を行う計画 | 〇 | ✕ | |
③経営力向上計画加点 | 中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して加点 | 〇 | 〇 | |
④事業承継加点 | 代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合に加点 | 〇 | 〇 | |
⑤過疎地域加点 | 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取り組みを行う事業者に対して加点 | 〇 | 〇 | |
⑥一般事業主行動計画策定加点 | 従業員100人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者に対して加点 ※計画期間に「公募締切日」及び「事業者が設定した補助事業完了予定日」がいずれも含まれている場合に加点の対象 | 〇 | 〇 | |
⑦後継者支援加点 | 申請時において、「アトツギ甲子園」のファイナリスト又は準ファイナリストになった事業者に加点 | 〇 | 〇 | |
⑧小規模事業者卒業加点 | 補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者に対して加点 | 〇 | 〇 | |
⑨事業継続力強化計画策定加点 | 中小企業等経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定を受けており、実施期間が終了していない認定事業者に対して加点 | 〇 | 〇 |
(参考)持続化補助金の採択率の推移
下記が第1回~第16回までの採択率の推移です。第16回については37.2%であるため、直近は採択が難しくなっていると言えます。

まとめ
小規模事業持続化補助金は、小規模事業者等が行う販促活動や生産性向上の取り組みを支援する補助金です。申請できる枠組みは、「一般型」・「創業型」・「共同・協業型」・「ビジネスコミュニティ型」の4つとなっていますが、メインは一般型と創業型だと思われます。各枠組みの特徴を抑え、自社のビジネスに役立てられるか検討するようにしましょう。また、すぐに申請を出さないにしても今後出す可能性があるのであれば、審査の際に確実に加点をとるためにできるだけ早めに経営力向上計画の認定を受けておくとよいでしょう。