「過去にローンやクレジットカードで延滞をしてしまった…」
「債務整理をした経験があるけど、創業融資を受けられるのだろうか?」

このように不安を抱えている方は少なくありません。創業融資は、事業を始めるうえで大きな資金調達の柱となりますが、審査においては申込者の信用情報が重視されます。いわゆる「ブラックリスト」に載っている場合、融資が通らない可能性があります。
本記事では、ブラックリストに該当する場合の創業融資への影響や、信用情報を確認する方法、もし信用情報に傷があった場合の対応策についてわかりやすく解説します。

ブラックリストの人は創業融資を受けられない可能性がある

融資における「ブラックリスト」とは信用情報に傷があること

金融機関がいう「ブラックリスト」とは、公式に存在するリストではなく、信用情報に延滞や債務整理などの記録が残っている状態を指します。
このような記録は「事故情報」と呼ばれ、クレジットカードやローンの返済状況を管理する信用情報機関に登録されています。支払い期限を1日でも超えた場合は「延滞」と判断され、61日以上超えた場合はより重い「異動」という記録が信用情報として残ります

ブラックリストの場合は融資が下りない可能性がある

創業融資の審査では、返済能力とともに「過去の金融取引の信頼性」が確認されます。事故情報が残っている場合、金融機関は「返済リスクが高い」と判断し、融資を断られる可能性が高くなります。特に日本政策金融公庫や信用保証協会を利用する融資は、信用情報を厳しくチェックするため、ブラックリスト状態では融資が下りないことがあります。

ブラックリストかもしれない人は信用情報を開示してみよう

過去に奨学金の返済やクレジットカードの支払い等が滞ったことがある等、自分の信用情報に自信がない方は、信用情報の開示請求をしてみることをおススメします。有名な信用情報機関について下記で紹介します。

(1)株式会社シー・アイ・シー(CIC)

主な記録内容:クレジットカード、割賦販売、消費者ローンの契約情報・返済状況・異動情報などを管理

保存期間:契約期間中および契約終了から5年以内。延滞や債務整理が記録された「異動情報」も5年間保持されます。

開示申請方法:CICの公式サイトの「個人信用情報開示」ページから、インターネットや郵送により申請可能です。

公式サイトURL指定信用情報機関のCIC

(2)日本信用情報機構(JICC)

主な記録内容:消費者金融、カードローン、その他貸金業者などの契約・返済履歴や申込・異動情報を管理

保存期間:契約中および契約終了から5年以内。一部情報(延滞解消など)は「発生日から1年以内」で解消されるケースも。

開示申請方法:専用アプリや郵送で申請が可能。

公式サイトURL日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

(3)全国銀行個人信用情報センター(KSC)

主な記録内容:銀行や信用金庫等でのローン契約内容・返済状況、延滞・代位弁済等の異動情報、官報(破産・再生)の記録などを管理

保存期間:取引情報・延滞・代位弁済など⇒契約期間中および完済後5年以内 / 官報情報(自己破産・個人再生)⇒決定日から最長7年登録

開示申請方法:Webまたは郵送で申請可能。

公式サイトURL全国銀行個人信用情報センター | 全銀協の活動を知りたい方 | 一般社団法人 全国銀行協会

信用情報に傷があった場合の対応方法

延滞等が残っている場合はすぐに解消する

今も延滞が続いている場合は、まず未払い分を完済し延滞状態を解消しましょう。

信用情報の履歴が消えるまで待つ

事故情報は永久に残るわけではなく、信用情報機関や内容によって異なりますが概ね5〜7年程度で削除されるのが一般的です。履歴が消えるまで待ち、その後に融資に申し込むのも現実的な対応策です。

事業計画や経験、自己資金など他のポイントで加点を狙った上で融資にトライする

信用情報に傷があっても、金融事故の内容が軽いものであれば、融資におけるその他の審査ポイントに関する準備をしっかりとすれば融資を受けられる可能性があります。具体的には、自己資金をより多く準備したり、説得力のある事業計画を準備することで、融資の可能性を高められる場合があります。また、これまでの経営経験や専門知識をアピールすることも非常に有効です。こういったその他の加点ポイントを増やすことで、総合的な評価が高まり融資がおりる可能性があります。

補助金や助成金などの融資以外の選択肢を検討する

創業初期には国や自治体の補助金・助成金制度も数多く存在します。融資が難しい場合は、補助金や助成金、あるいはクラウドファンディングや投資家からの資金調達など、融資以外の資金調達手段を検討することも重要です。

まとめ:自身の状況を把握して適切に対応していこう

ブラックリスト状態にあると、創業融資の審査通過は難しくなります。しかし、信用情報を確認して現状を把握したうえで、延滞を解消する、記録が消えるのを待つ、自己資金や事業計画で信頼性を補う、補助金など別の資金調達手段を検討するといった対応を取ることが可能です。

ブラックリストの懸念がある方は自身の信用情報を調査し、適切な対応を取ることで融資を受けられる可能性もありますので、あきらめずに起業の準備を進めていくようにしましょう。

創業融資に関しては当事務所でも対応しておりますのでご不明点のある方はお気軽にお問い合わせください。