
創業融資を税理士に相談するメリットや
選ぶ際のポイント等を解説
起業を考えるとき、多くの方が最初に直面する大きな壁が「資金調達」です。特に日本政策金融公庫の創業融資や、保証協会付き融資を活用するケースは多いですが、初めての起業家にとっては「どんな書類を用意すればいいのか」「どこまで数字を細かく作り込めばいいのか」といった点が分かりづらいのが実情です。
こうしたときに心強い存在となるのが税理士です。本記事では、税理士に創業融資の相談をするメリットやサポート内容、料金の目安、そして税理士選びのポイントについて詳しく解説します。
創業融資を税理士に相談するメリット
(1)融資審査を突破しやすくなる
金融機関は融資審査において「事業計画の実現可能性」や「数字の裏付け」を特に重視します。税理士は会計や資金繰りの専門家であるため、数字に根拠を持たせた説得力のある計画書作成をサポートできます。また、創業融資においては、ありとあらゆるタイプの申請者が融資を申請してきます。それこそ資料の出来が非常に悪い方や、面談で質問にきちんと答えられないなど、準備不十分な方も多くいると思います。そんな中で税理士のサポートを受けている申請者は、「しっかりと準備している」と判断されやすい傾向があります。結果として、独力で申請するよりも融資通過率が高まる傾向にあります。
(2)より有利な融資条件を引き出せる可能性も
融資は通ればいいというものではなく、金利や返済期間も重要です。税理士が関与することで、金融機関から「経理や財務管理をきちんと行う体制がある」と評価されれば、条件が改善されるケースもあります。例えば、公庫からの創業融資の場合、認定経営革新等支援機関である税理士からサポートを受けていれば特別利率が適用されます。
(3)準備の中で財務や税務に関するアドバイスを受けられる
融資申請準備に税理士が第三者として関与することで、申請者自体が認識していなかったポイントや財務に関するアドバイスを得られる可能性があります。例えば申請者が一人だけで準備している場合は、「いくら借りれるのか」、「そもそもいくら借りた方がいいのか」はよくある悩みだとおもいます。税理士が付いていれば、ビジネスモデルや申請者の財務状況に応じて、適切な融資希望金額を提案してもらえることもあるでしょう。また事業計画を立案する中で税務上の論点や節税ポイントなどがあれば事前に確認することができます。
サポートの内容と料金の目安
サポート内容の具体例
税理士が提供する創業融資サポートは事務所ごとに異なりますが、一般的には以下のような内容が含まれます。
- 創業計画書や資金繰り表の作成
各資料の数字の整合性を取りつつ、審査官が理解しやすい形に仕上げるサポートを行います。 - 融資面談の模擬練習やアドバイス
よく聞かれる質問や回答のポイントを事前に確認できます。 - 金融機関との調整や交渉のサポート
場合によっては税理士が同席し、申請者に安心感を与えます。
料金の目安
料金の設定も税理士によって様々ですが、着手金と成功報酬の組み合わせの場合が多いと思います。成功報酬は2%~5%のレンジが一般的ですが、着手金や顧問契約がある場合は成功報酬のパーセンテージが下がる傾向にあります(「着手金20万+融資実行額の2%」等)。一方で、事業計画書の作成等専門的な支援を伴わず、一般的なアドバイスや金融機関との同席のみ等であれば、顧問契約に含まれているケースもあります。
選び方のポイント
(1)料金体系が明確であること
着手金・成功報酬・顧問料などの費用が不透明な事務所は注意が必要です。契約前に必ず総額の目安を確認しましょう。融資が出ないリスクに備えたい場合は成功報酬の税理士を選ぶようにしましょう。
(2)コミュニケーションのしやすさ
創業時は資金繰りや税務で不安になる場面が多いですが創業融資の支援ではコミュニケーションをとる場面が非常に多いため、相談しやすい税理士かどうかは非常に大切なポイントです。また、信頼できて気が合う税理士とは創業融資以外においても継続的に業務が発生する場合もあるため、初回面談時のコミュニケーションから判断すると良いでしょう。特に面談時に専門用語を多用したり説明に納得がいかない点が多い場合は注意だと思います。
(3)創業融資を強みとしていること
全ての税理士が創業融資について相談できるかというと、そうではありません。実際に創業融資を自身で受けたことがあるかや、創業融資支援の成功率について聞いてみるとよいでしょう。また、認定経営革新等支援機関かどうかも確認するとよいでしょう。認定経営革新等支援機関である場合は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上であることを示しています。
まとめ
創業融資は、事業のスタートダッシュを決める重要な資金調達手段です。しかし、申請書類の作成や金融機関との交渉は初めての起業家にとってハードルが高く、独力では思わぬ不備や失敗につながることもあります。また、融資の申請が失敗してしまうとすぐに再挑戦ができなくなってしまうリスクがあります。
税理士に相談することで、審査通過率を高めるだけでなく、より良い条件での融資実行、さらに事業開始後の経理・税務まで一貫したサポートを受けられるという大きなメリットがあります。一方で、すべての税理士が創業融資に対応しているわけではなく、サポート内容や料金体系、実績については税理士ごとに様々であるため、しっかりと面談した上で相談先を判断するようにしましょう。
当事務所でも創業融資についての支援を行っているため、少しでもお悩みの方はぜひご相談いただければと思います。
税理士以外の相談先については、創業融資はどこに相談できる?相談できる窓口一覧とポイントを解説の記事で解説しておりますのでご参照ください。