創業融資を検討する際に多くの方が迷うのが、「いつまで申請できるのか」「創業前でも申し込めるのか」といったタイミングの問題です。本記事では、個人・法人それぞれの違いを踏まえながら、公庫(日本政策金融公庫)の創業融資の申請タイミングについてわかりやすく解説します。

なお、公庫の創業融資の全体概要については【創業者&起業家必見】日本政策金融公庫の創業融資の流れ&審査対策を徹底解説に記載していますのでご参照ください。

公庫の創業融資は「新たに事業を始める方または事業開始から概ね7年以内の方」が対象

公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)において、公式HP上で記載されている対象は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」となっています。この中で、特に創業期の方(新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方)は以下の特典があるとされています。

  1. 無担保・無保証人融資
  2. 利率を一律0.65%引下げ
  3. 長期で返済可能(※)
    ※設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は原則10年以内(うち据置期間5年以内)と長期での返済が可能。

「事業開始」とは実際に事業を開始したタイミングのこと

個人の場合:「開業届を提出した日」ではない

個人事業主の場合、個人的に営業活動をスタートして、ある程度時間がたった後で開業届を税務署に提出する方が多いと思います。開業届の提出日は事業開始のkeyではなく、実際に仕入を行ったり販売を行ったタイミング(=営業活動を開始したタイミング)が事業開始となります

法人の場合:「設立登記を行った日」ではない

こちらも同様に、設立登記から実際の営業活動の開始までタイムラグがあることがあると思いますが、実際に営業活動をスタートしたタイミングが事業開始となります。

事業開始前でも融資申請は可能だが、いくつか注意点も

融資手続にかかる時間を考えて融資申請タイミングを決める

法人・個人を問わず、事業開始前に融資申請を行うことは可能です。ただ、そもそも融資申請の手続自体が申請~着金まで概ね1カ月程度かかるため、事業の開始タイミングと融資申請のスケジュールのバランスを考えた上で、適切なタイミングで申請を行うようにしましょう。

法人の場合、融資申請は設立登記後しかできない

法人の場合、融資申請時の提出書類に登記簿謄本が含まれているため、設立登記前に融資申請を行うことができません。設立登記を済ませた後で申請するようにしましょう。

創業予定地が未定の場合は融資申請ができない

創業予定地が未定の場合は融資の申請はできません。公庫HPのよくある質問コーナーに理由の記載がありますが、「創業予定地が未定だと事業計画が固まらないため」とされています。

事業に必要な許認可は取得前でも申請可能

飲食業の場合の営業許可証等、事業に必要な許認可がある場合、現在未取得でこれから取得予定というステータスでも融資申請は可能です。ただ、融資の実行自体は許認可の取得後になる点に注意してください。

まとめ:公庫の創業融資が申請できるタイミング

ここまでの情報をまとめると以下のようになります。

  • 公庫の創業融資は、「新たに事業を始める方」または「事業開始からおおむね7年以内の方」が対象
  • 「事業開始」とは、開業届提出日や登記日ではなく、実際に営業活動を開始したタイミング
  • 事業開始前でも申請は可能だが、スケジュール管理をすること
  • 法人の場合は、設立登記後でないと申請できない点に注意
  • 創業予定地が未定の場合は申請不可。出店場所や事業所をある程度決定しておく必要あり
  • 許認可が必要な場合は、未取得でも申請可能だが、融資実行は取得後となる

公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)については、当事務所でも支援を行っていますので、是非お気軽にご相談ください。

なお、公庫の創業融資の全体概要については【創業者&起業家必見】日本政策金融公庫の創業融資の流れ&審査対策を徹底解説に記載していますので合わせて活用ください。